ネガからの焼き増しプリントは早めにしたほうがよい、その理由とは・・・
 前置きが長くなりますので、お急ぎの方は★印の付いた段落だけでも読んで次へ進んで下さい。
 写真屋さんのプリンターの機械の中に入っているフィルムのデータの基準値が色々な理由(お店の環境やプリンターの使用ひんどなど・・・)で、日々少しずつ変わっているからです。
皆さんは次のような経験をお持ちではないでしょうか。同じフィルムの同じコマから、同じ店で焼き増しプリントをしたら、するたびに、写真の色が違っていたという経験です。これは、プリンターの現像液のヘタリなどによって、朝と夕方だけでも仕上がる写真の色は違って来ます。このようにプリンターの環境が少し変わっただけで、写真の仕上がる色に大きな影響を与えるとしたら、もし、そのお店が、写真を仕上げるための大切なフィルムのデーターをきちんと管理していなかったとしたらどうでしょう? 当然、焼き増しをするたびに、毎日、違った色の写真が出来上がって来るということになります。
 また、環境以外にも、フィルムを明かりにかざして見ると、メーカーや、フィルムの持つ特徴(感度など)の違いによって、フィルムの透明な部分の色がそれぞれ少し違っていることがお解かり頂けると思います。目で見ても、わずかな違いなのですが、写真にプリントすると、それが、まったく違った色合いになります。写真屋さんは市販されている、それら、すべてのフィルムの種類のデータ(オーバーネガ、アンダーネガ、ノーマルネガから正しく写真の色が出るように)を出して、写真の色を自動でコントロールしています。それをチャンネル別に分け、そのフィルムの需要がなくなるまで、それぞれのデータを確り管理します。(需要がなくなるとは、フィルムが新しい物に切り替わるなどして製造中止になることです。) それが今では、デジタル技術の進歩によって、スキャナーの機能が相当良くなり、職人のような技術のある人がいなくても、機械が勝手にフィルムを判断して、自動的にソコソコの写真に仕上げてしまうので、技術の無い人でもプリンターの機械を管理している店がたくさん増えてきました。しかし、そのような人では、毎日、機械の常態を一定に保つことなど出来るはずがありません。色の微調整(モーニングセットアップ)が、うまく出来ないので、写真の色を安定させることが出来ません。すると、写真の色は段々と悪くなり、最後は機械のメーカーに、色の調整に来てもらうことになるのです。
★話しが長くなりましたが、ネガからプリントするのに、出来るだけ早い方がよいと言う一番の理由は、フィルムは数年に一度、モデルチェンジをくり返しています。すると古くなったフィルムのデータは、プリンター内から削除され、新しく発売されたフィルムのデーターに置き換えられるか、管理されなくなります。すると、次のような問題が起こります。
例えば皆さんが、5年前に現像したフィルムを焼き増しのために、お店に持って行ったとします。そのフィルムのデータは写真屋さんのプリンター内には当然、残って無いか、残っていても、きちんと管理がされていないので、よい色が出るわけありません。そんなときは、そのお店が、最近よく使う別のフィルムのチャンネルのデータでプリントしてしまいます。写真の出来上がりを5年前の写真と見比べることが出来たなら、誰が見ても、その色の差は一目りょう然でしょう。
★ではどこかに大切に保管していたはずのフィルムが何らかの理由で退色してしまったらどうでしょう? フィルムは目で見ても、色の判断が出来ません。プリントして初めて分かるのです。上記の理由で、それ以上に写真の色が悪くなることは誰もが想像できるはずです。左の写真は7年前のフイルムからプリントしたものですが、色補正をかけましたが、これが限界でした。これ以上どうすることも出来ませんでした。と言うことで、フィルムからの焼き増しは出来るだけ早い方がよいのです。プリントさえ美しく色を出しておけば、正しく保管すれば100年以上は色鮮やかな思い出の写真を見ることが出来ます。
 
フォトCDにすれば、そのような問題は無いかのように思えますが、・・・ この話しの続きは本文に戻ってしたいと思います。

フィルムの管理の仕方の途中に戻る。